一人ひとりのキャリアデザインを考える

 

不登校支援『一人ひとりのキャリアデザインを考える』シンポジウム

2017年に施行された「教育機会確保法」では、子どもの最善の利益の立場にたち、休みの必要性や学校外で学ぶ重要性が明記され、公民連携をより一層考える時を迎えました。教育、心理、福祉・医療等さまざまな視点から、トータルで生徒のキャリアを捉えていくため、不登校支援の視点からこのようなテーマにて、みなさんで考える機会を設けました。

~プログラム~

1.不登校とは~不登校をめぐる国の動向から
教育機会確保法についてのポイント
・休みの必要性、学校外の学びの重要性
・財政措置に努めること
・公民連携を進めること 等々

2.法政大学キャリアデザイン学部 准教授 田澤実先生による講演

テーマ「発達段階や個別の課題を踏まえたキャリアデザイン」
① 不登校とひきこもり
② 求職しない理由 就業を希望しない理由
③ 特別支援学校(高等部)の就職
等、3つの視点からご講演いただきました。

3.パネルディスカッション
テーマ:「不登校児童生徒のキャリアデザインを考える」
今回は、以下の様々な教育者の視点から考える会を開催いたしました。

☆森川 大地 氏 (県立高等学校教諭)
定時制高校での勤務経験や体験などを通じて「主に学校教員の視点で」をお話いただきました。

☆桜庭 千明 氏 (認定NPO法人育て上げネット)
若者の自立支援センター、サポステセンターでの経験や体験、県立の定時制高校を中心とした、キャリア支援、自立支援事業などの経験や体験などを通じて「自立支援や外部の機関」の視点でお話をいただきました。

☆愛甲 悠二 氏 (特別支援学校教諭)
障がい者の就労支援施設経験、特別支援教育での勤務経験や体験から「一人ひとりを支援する特別支援教育の視点で」お話をいただきました。

☆田澤 実 氏 (法政大学キャリアデザイン学部准教授)
教育心理学、生涯発達心理学の研究者の視点からパネルディスカッションをさらに深めていただきました。
司会:津久井 達也(NPO法人春日部育英キャリアサポート)

 

~内容~

1.さまざまな悩みを持った生徒がいる!

~各々の経験から~

・学校の校門まで来れるけど、中に入れない。
・昼夜逆転で学校に来れない。
・学校に来たくても来れない。
・進路変更から別の高校卒業。
・移動に制約がある。

等、状況は一人ひとり異なる。また、原因がよくわからないことも多い。また、現在不登校、不登校経験者不登校からの引きこもり、卒業後に引きこもる場合もあり、状況も様々である。

 

2.一人ひとりをサポートするには、様々な立場の支援者が協力し合うことが必要

~各々の経験から~

・不登校支援に共通した特段の策は特にない感じもある。
・特別支援教育、個々のニーズに合わせた指導方法、個別の支援計画や指導計画は一人ひとりをサポートするためには有効なツールでもあるのではないか。
・編入や転校など進路変更など視野を広くもつこともあり(1つの学校辞める=失敗ではない。)
・学校には期限があるが、卒業後にもサポート機関はある。
・信頼関係づくりは次へのステップを考えるときにとても大切だと感じた。
・自立支援機関などに来くる方は、自分に自信がない、人と接するのが苦手という背景を持っていることもあるが、働きたいと思ってくるので、心底いやなら来ない。なので、仲間が欲しい等の気持ちは持っていることもあり、関係性ができてくることがある。
・履歴書の空白期間や差別を気にする就職採用担当者もいるかもしれないが、気にせずこれからどうするかや自身が行ってきたことを説明できればよい。これからどうしていきたいかを話せばよいと思う。

等々、信頼関係づくりや様々な機関やツールを使いながら、自身のキャリアをデザインしていくこともできる。そして、そのためには学校をはじめ公民連携を進めること当該者にっとって可能性を広めるためにもとても重要。

 

3.協力や連携は必要だが、まだまだ議論の余地がある!

~公民連携について学校の現場を中心に連携について~

・特別支援学校の連携状況→医療、福祉など様々な協力体制を作ろうとしているが、まだまだ、他の専門家や教員ではない視点からのアプローチは必要。
・実際の連携しているNPO側からの立場から→連携のきっかけは、県からの指令、最初は先生との関係も難しさがあったが、教員側からも使い方もわかる(協力学校規模の大きさもある)と、生徒のためにできることを一緒に考えたりできるなど連携がスムーズになっている。
・連携が機能してない場合の例→教員が自分の生徒を任せるのは不安感もあるかもしれない。責任の問題もあるが、お互いに連携しようという気持ちが生まれてくるとうまくいくかもしれい。そのためには、成功事例などの学校間の口コミや効果をデータで示すなども良いかもしれない。

→等々、実際の連携状況のお話をいただきながら、どのように連携を進めていくかを議論しました。

 

4.まとめとして…(質疑応答、アンケート等も踏まえ)

①「不登校といいても、さまざまな悩みを持った生徒がいる!」
②「一人ひとりをサポートするには、様々な立場の支援者が協力し合うことが必要!」
③「協力や連携は必要だが、まだまだ議論の余地がある!」

また、今回は高等学校が中心の話になってしまったので、様々な悩みは小学校、中学校などでも異なることもあると思います。そもそも不登校ということ自体が悪くないという立場もあると思います。

 

~アンケートより~

困難な子にしてるのは大人側の問題であり、不登校の子どもを問題とするのではなく、学校という構造の問題でもあるというご意見もございました。そもそも雇われることを前提に教育がされているという「仕事観」にも課題がある。「人材育成」に関心がある社会人にも課題を知ってもらうと良い。など、様々な立場の方々からもご意見をいただきました。

教育関係者、支援者だけでなく様々な視点から一人ひとりのキャリアをデザインすることについて議論を深めることができました。ご参加いただいた皆様方、誠にありがとうございました。また、残念ながらご予定がつかなかった方にもご関心いただいている旨も多数お寄せいただいております。この場をかりて、お礼を申し上げます。

 

今回、理事長津久井が感じた教員、支援者、他機関の方、目指すもの生徒の成長等同じでも「立場の違い」によって様々な葛藤が生まれていると感じました。この視点が如実にあらわれている質問だと考えました。次回は、その立場の違いの葛藤をテーマに、「指導をする立場の教員」と「受け入れる側の立場のカウンセラー」の視点から、心理学と教育の葛藤をテーマに会を開催。

NPO法人春日部育英キャリアサポート
理事長  津久井 達也